仕入れ、あり。

ウチの店の棚をごらんになった方から買取依頼。

ごくご近所の方だった。ご主人がお亡くなりになってだいぶ経ったので、そろそろご蔵書の整理を、ということだった。

朝お電話を頂き、とりあえず出かけた。評価させてもらってからクルマで取りに行けばいい、と思える距離だった。
住宅地の路地の行き止まり。このあたりは昔田んぼか畑だったのだろう。不自然に突然道が細くなってクルマだけ通れなくなっている。大通りから少し距離があるので、あたりはとても静かだった。

早速お邪魔して本棚を拝見する。キリスト教書だった。プロのワタシから見ても筋がいいラインナップ。ただし、よくお勉強されたらしくほとんど本には書き込みがあった。
お聞きしないうちにご婦人がお話をしてくれた。なんでも退職されてから一大決心をされて、70歳で牧師の試験に合格されたのだそうだ。すばらしい。
日々是勉強。学ぶ意志を捨てることなければ、人は必ず前に進める。なんだかとても勇気付けられた。
本屋をしていると本を通じていろいろな方とめぐり合える。すでに亡くなられた方であることもしばしばだが、本からはその方の人となりが透けて見える気がする。
1冊1冊検品していると、神田にあるワタシが勤めていた書店のレッテルがあった。もしかしたら数年前、この方とお会いしていたのかも知れない。まったく別の場所でお会いした方とこうして再びお会いする不思議を感じた。本の力のなせる技だ。

クルマで引き取り、駅前の道からぐるっと一方通行を迂回するつもりだった。ところが、新丸子西口駅前の1本道でバスが立ち往生している。路肩に軽のワンボックスが駐車して道を塞いでいた。近所の商店の方がクルマの渋滞を見て話していた。「あら、これくらいなら通れるはずなのにねぇ。」バスの運転手を責める口調だった。しばらく待っても軽の運転手は姿を現さない。次第に商店街方面に迂回するクルマも出始めた。誰もクラクションを鳴らさない。
道を知っているのですぐに迂回しても良かったが、この渋滞そのものに対して抗議しなければなんとなく気持ちが収まらない気がしたので、クラクションを30秒にわたって鳴らし続けた。バスの運転手は動きたくても動けない、という意志を表したかったのか、エンジンをかけてすぐに止めた。(^^;。

それを見届けてから、ワタシはハンドルを右に切った。誰も責任をとろうとしない。アホくさい事態だった。

2003-12-07 | Posted in 甘露日記Comments Closed 

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