THE JAPANESE BOX

「THE JAPANESE BOX」という形で日本の写真集が6冊復刻された。

出版はつい最近。ただし、版元は海外である。
黒い木箱の中に『プロヴォーク」全3巻(1968-69)、中平卓馬『来たるべき言葉のために』(1970)、荒木経惟『センチメンタルな旅』(1971)、森山大道『写真よさようなら』(1972)の復刻版が収納されており、それで「BOX」。全世界で1500部が発行されたという。
限定番号入り。ちなみにワタシが所有しているのは95X番目。

箱を開け「THE JAPANESE BOX」と印刷された赤い平ゴムをはずし、黒い羅紗紙に包まれている本を取り出す。
やはり最初は「センチメンタルな旅」を手に取った。どこにも復刻の文字はない。表紙をあけると最初の頁に物憂げな陽子さんがいた。久しぶりの再会。でも少し感触が違う。オリジナルのあのかすれたような絶妙のタッチがそのまま再現されたわけではなかった。残念というよりは少しホッとした。それは古本屋というもうひとりの自分が出したタメ息かもしれなかった。

どれにも”re-print”とは印刷されていない。現在はピンピンの状態だから復刻とわかっても、あと何年かしたらわからなくなるおそれがある。”出た”という情報を知っていればきっと間違えないが、復刻の事実を知らずにオリジナルとして扱う人が出てしまわないか少し心配だ。まあ、たぶん大丈夫だけど。

今回この仕事を成し遂げた人は海外の写真集コレクターで有名な人物。数年前から今回の復刻のためにこの6冊ある写真集の新品同様本を熱心に収集していたらしい。そう考えると思い当たることがある。時期を同じくしてこのあたりの写真集の相場が極端に上昇したのだ。あれよあれよのうちに一大決心を要する金額にまで値が釣り上がってしまった。今回こういう形で復刻されたことを市場がどう判断するかは興味深いことだ。

復刻されたらオリジナルの値段が下がる、というのは少なくともこの分野には当てはまらない。むしろ復刻版で人気の裾野を広げ「いつかはオリジナルを」という熱心なファンを新たに掘り起こす可能性の方が高い。

プロヴォークが世に出たのは33年前。丁度ワタシの年齢とシンクロしている。当時のムーヴメントが尖鋭化させた時代の切り口。その切れ目を見ながら我々の世代は育ってきた。

この流れはまだしばらく枯れることはないのだろう。

2001-12-18 | Posted in 甘露日記Comments Closed 

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