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■Rollei B35 C35

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写真工業誌昭和45年4月号に舟木正直氏によるローライB35とC35のテスト記事が掲載されている。その中から一部をここに紹介したい。

ローライB35とC35は、ローライ35の姉妹機ともいうべき性格のカメラである。C35に単独式のセレン露出計をビルトインしたものがB35であり、メーカーの企画によるとB35とC35を一組にして白黒フィルムとカラーフィルムに使い分け、B35の露出計を双方の露光条件の設定にしようというもので、プラスチックの採用によってボディを極端に軽量化してあるために、2台をいっしょに携行しても普通のカメラ1台と大差ないボリュームと重量である。外観はローライ35と比較すると、ボディ内部のメカは大幅に変更している。

ボディ関係 ローライ35がボディ前面レンズ鏡胴の左右にふりわけて配置してあった絞りとシャッタースピードのダイアルを全部レンズ鏡胴部にまとめたため、ボディの厚さは少々増加している。重量はB35が265g、C35が250gと、35mmフルサイズカメラでは、世界一軽量のカメラであろう。従来のカメラが採用してきたボディのメタルダイキャストをプラスチックという新しい軽量材に置き換えたためで、プラスチックモールディングボディの外側を、鋼板で包んで補強したような構造である。ただし、フィルムゲート、フィルム圧板取付け部などの要所は金属で上手に補強されている。

フィルム巻上げはローライ35同様の左指巻きのワンハンドレバー。フィルムのコマ間隔は幾分不均等である。フィルム巻き戻しは底面の折畳式クランクレバーによるが、スプロケット解除は底面のボタンを押すようになっていて、押したままで巻き戻さなければならないし、クランクレバーのつまみが固定されているので、ローライ35に比べると操作性の点でやや劣っている。フィルムカウンターはボディ上面右側の丸窓内にあり、順算式で指標が大きくルーペ付であるため見やすく、裏ブタを開くと自動的に0に復元する。ローライ35のカウンターがボディ底面にあるのと比べると遥かに便利である。

裏ブタを除くと内部はほとんど一体のプラスチックモールドで、露光室の内壁は黒色のつや消し塗装によって内面反射を防止してあるが、ローライ35の場合と同様に内面反射は多いほうで、特に鏡胴後部左側の金具が銀色に光っているのは感心できない。露光室の右側壁がボディのコンパクト化のために非常に肉が薄いのは、プラスチックという材質を考えたとき不測のトラブルの誘引となることもあるのではなかろうか。

ファインダー ファインダーはレンズ鏡胴の右上方に位置しており、逆ガリレオ式、ローライ35が全面ハーフミラーのアルバダ式であるから、明るさの面では幾分暗く感じられるが、視界の広さに対して歪みはほとんど無く、白色の細いフレームがクッキリと浮かんで見やすく、1.5m以内の視野補正マークが入っている。倍率は訳0.7倍、視界比率は無限遠でフィルム面に対して上下93%、左右88%である。ファインダーの位置がボディ左肩に偏っているローライ35と比べると、B35、C35のファインダーは視差が少なく、視界比率も良くなっている。

シャッター ローライ独特の平面展開式特殊シャッターで、ローライ35が5枚羽根であったのにくらべ、B35、C35はいずれも3枚羽根で、速度もB・1/30〜1/500と簡略化されていて、カメラを両手で保持した両方の指示で鏡胴基部のリングを回転してスピードをセットするようになっており、しっかりしたクリックでスピードメモリのところで停止する。指標はC35はファインダー左側に設けられているが、B35にはなく、ファインダーと露出計受光窓の間の金属部分が指標を兼ねている。

レリーズボタンはボディ上面右前方よりにある。保護リングを備え割合に大型でストロークは約1mm。非常に軽くて押しやすく、シャッター音も軽快で作動もスムーズである。なお、このカメラもフィルムを巻き上げてシャッターをセットしないと沈胴式レンズをボディに格納することができないようになっている。レンズを引き出して固定すればすぐ撮影できる点では速写に好都合である。

露出計 ローライ35はシャッタースピード、絞りに連動するCdS露出計をビルトインしていたが、C35では省略され、B35にはセレン光電素子を使用した単独式露出計がビルトインされている。

この露出計受光部はファインダーの左側、メーター部分はボディ上部中央にあって、まず、ASAリングをフィルムに合わせてセットしておき、ダイアルを回してシャッタースピードを先決して被写体からの反射光によってメーターの指針が示す絞り値を読み取って鏡胴部のシャッタースピード、絞りの両リングをメーターの指示どおりにセットする。

測光範囲はASA25〜1600、シャッタースピードは1/30〜1/500.絞り値F3.5〜F22、EV8〜18である。

レンズ関係 このカメラは携行に便利なようにレンズ部分の突出を最小限にとどめる目的から沈胴式を採用し、撮影に際してレンズを引き出し、わずかに向かって右方に回すとカチッと固定されるようになっている。格納するには、必ずフィルムを巻き上げてシャッターをセットした後、鏡胴右下方のロックボタンを押しながらレンズを向かって左にわずかに回して押し込む。

焦点調節は前玉回転式で、0.9mから無限遠を目測によって鏡胴最前部のリングを回転して行うようになっており、2mと6mは赤色文字で示し、スナップの便を図っている。また、絞り値は中間絞りにクリックを設けてあり、露出の微調節がし易くなっている。絞り羽根は6枚であるから絞り孔は正六角形である。焦点深度目盛はF8とF16の場合のみに指標が設けられ、距離、絞り、シャッタースピードなどの文字はすべてカメラ上方から一目で確認することが出来る。

レンズは3群3枚構成、カールツァイス社のトリオターで、写歴の長い人には戦前のローライコード、セミ版カメラなどでなじみの深かった懐かしい名称のレンズである。3群3枚トリプレット構成のレンズは1893年に英国のテイラーが設計したクックレンズを基本として発展してきた3群非対称アナスチグマットレンズのひとつで、単純な形式にもかかわらず、その優秀性と実用価値は高く評価されている。一時は大変に普及したが、明るさの点に限界があり、F3.5程度を限度としてそれ以上明るいレンズでは周辺部の鮮鋭度が低下したり、ソフトフォーカスぎみになるなどの欠点があったため、近年の大口径レンズ時代には同じ3群形式でも4枚のテッサー、5枚のヘニアなどから、7枚のゾナーなど、レンズ構成の多い大口径レンズへ発展していった。一方、トリプレットタイプレンズ最大の利点はその単純さからくる経済性にある。また、従来のトリプレットレンズは中心部の解像は非常に優れているが、非点収差の関係で周辺部の解像力が低下するという欠点があったから、何らかの方法で全画面の解像力を平均化出来るなら、トリプレットレンズは安価な高性能レンズとして非常に有用なレンズとなるはずである。しかし、上述したように、トリプレットレンズの発展が停滞したのは光学ガラスがクラウンとフリントに限られていた時代のことで、最近のように希元素を利用した新しい光学ガラスが次々と開発されてくると、当然トリプレットレンズの性能も大幅な向上があって良いはずである。ローライ35の新しい姉妹機にトリオターレンズが採用されたのは、普及機用としての経済的な理由のほかに、カールツァイス社の研究によって従来の壁が破られ新設計に基づく高性能トリプレットレンズが出現しえたと思われる。焦点距離40mmという従来のトリプレットレンズでは不利な準広角レンズに採用された点に興味が注がれたのでレンズ性能をテストしてみた。

晴天の場合も曇天の場合も中心部から周辺部に至るまで良好な解像を示し、コントラストも充分で、実用上全く支障を認められなかった。しかし、引き伸ばし倍率を大きくすると、開放絞りでは中央部に比べて画面端の部分の解像がやや劣っている事が認められるが、F4以上に絞れば全画面が優れた解像を示すようになり、使用上まず問題があるとは言えない。また、画像の歪みもなく、見事な描写をする。このカメラの場合には、レンズの解像を問題にするよりも、ボディが軽いことから起こるカメラぶれによる画像の劣化に対して充分な注意が必要である。

周辺光量は、開放絞りの場合に露光不足ぎみのネガにわずかに認められるが、適正露光であればほとんど問題がない。ボケの味や状態なども、絞り孔が正六角形と円に近いためか見苦しくなく、従来のトリプレットレンズにしばしば認められた非点収差の補正不足に起因する、放射状に周囲に向かって流れるようなボケも認められなかった。

結論 ローライB35・C35は一見したところローライ35の普及機と考えられるが、ファインダー、絞りリング、シャッタースピードリング、フィルムカウンター、スプロケット解除装置、裏ぶたロック装置などがさらに合理的に配置換えされ、構造、形状などもより使いやすく改善されている。優れたトリプレットレンズの採用、プラスチックを高度に活用してカメラの重量を大幅に軽減すると同時にコストダウンをはかり、今までにない携行性の優れた美しいポケッタブルコンパクトカメラに仕上げている。さすが老舗のローライ社の傑作と感心せざるを得ない。しかし、沈胴式レンズの採用は即写性の点で問題が残されていると言ってよく、薄型レンズが開発、採用されればさらに使いやすいコンパクトカメラに発展してゆくことであろう。


 

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