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朝から快晴。女房たちは今日出かけたくない、とのことなので、昼前にワタシ一人で出かけることにした。場所は六本木ヒルズ53階。ル・コルビュジェ展が開催中だった。
実に日比谷線1本で新丸子から乗り換えなしの直通。便利だ。ヒルズ内は高いので、いったん外で昼飯を食べてから展望台へのエレベーターに乗った。
52階で降りてすぐに東京シティービューへ。床までガラス張りの展望台は初めて。結構な迫力。今日はよく晴れて遠く房総半島まで見渡せた。双眼鏡で羽田へ向かって次々と着陸する飛行機を眺めたり。
で、いよいよ53階のコルビュジェ展。建築家というイメージがあったので、最初に絵画が飾られているのをちょっと意外に思う。初期に描かれた、身の回りにあるバイオリン、ボトル、コップ、パイプなどを構成した幾何学的な絵画はどこか神経質な印象。
彼の思想はモデュロールと呼ばれる黄金比を用いた建築の基準寸法がよく知られている。黄金比についてはかの「ダ・ヴィンチ・コード」にも出てくるくらい有名な話で、作中ラングトン博士は「古代人はこの値が万物の創造主によって定められたに違いないと考えた」と述べている。自然界を支配しているこの1.618という数字。それは、ミツバチの群における雄と雌の個体数の比、だったり、オウムガイの螺旋形の直径が、それより90度内側の直径の1.618倍だったり、人間の身長をへそから足元までの長さで割った数字が1.618だったりする。(「ダ・ヴィンチ・コード」より) コルビュジェは、メートル法が定められてから建築において人間的な感覚が追い出されたと語り、人間の寸法(黄金比)をもとに定めた「モデュロール」を提唱して自らの建築作品に取り入れた。それが、マルセイユのユニテ・ダビダシオンだった。
今回の展示で氏の作品が原寸大で復元されているのだが、その中の一つがこのユニテ・ダビダシオンの部屋だった。中に入ってみた。いわゆる集合住宅で、壁面が多くて実際にはちょっと窮屈な印象。一部屋二層の構成なので階段があり、上層にはベットルームが設定されている。よく実物大で復元したなぁ、という感じ。実際の建物は1階部分を柱(ピロティ)で持ち上げて人が通行できるようにしてあり、氏の「輝く都市」へ繋がる思想的志向を感じることができる。
工業化が進み、都市が過密化の一途を辿ったとき、ゆくゆくは機能不全に陥ることになる。それを打開する再開発の方法論として、「輝く都市」が著された。水平に広がっていく住宅や都市機能を垂直に積み重ねて集合して高層化し、それを効率よく配置することで公共スペースを確保して緑地化する。
これらはすべて計画の段階で話は終わっているとされていた。実際にどうだったのかはもちろん確かめようがないが、昨年の夏に読んだ東京の地下に関する本にこの件について言及があったことを思い出した。その中で、実際の「輝く都市」は邦訳されておらず、現在日本で出ている翻訳された「輝く都市」は内容が全く別の本だ、と書かれていた。(「帝都東京・隠された地下網の秘密2」新潮文庫より) 当時、パリはロンドンとともにすでに第一次世界大戦でドイツ軍による空襲を経験しており、その対策が急務とされていた。この作品の中心となったのは地上2階、地下3階のコンクリートの建物、地下鉄の駅だった。戦争は大砲の時代から空襲の時代になり、このとき築城理論は一変している。地上に主要建造物を置くことは防空上確実に不利になる。当時再開発といえば地下開発になる感覚は現代人にはむしろわかりにくいことなのかもしれない。
公共スペースを確保して緑地化することで人間的な生活を取り戻す、というコンセプトは氏が苦心して考え出した”表向きの理由”であり、実際は防空都市化に向けた対策の一つだったのではないか、というのはワタシのただの推測であるが・・・(^^;。
今回の展示はそういう動機から考えられたであろうパリの再開発計画という視点での解説は無論なかった。そりゃそうだろうね。
最後に映像で氏の建築主要作品をつらつらっと見る。代表作サヴォア邸は、氏の主張する「新しい建築の5つの要点(ピロティ、屋上庭園、自由な平面、水平連続窓、自由な立面)」をすべて体現しており、実に詩的な作品として解説されていた。外から眺めるよりも、中に入って歩きまわることでその特徴を理解することができる、らしい。なるほど。
ヒルズ内はあいかわらずワタシには取りつく島のない感じ(^^;。外にでて炎天下。でも風が吹いて意外に平気だ。六本木通りを渋谷まで歩く。Bカメラでフィルムを現像に出してから帰ってきた。
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