路地を見ると歩いてみたくなる。一度歩いて気に入ると、今度はカメラを持ってまた来よう、と思う。
地下鉄神保町駅を降りて1本裏に入るとこんな路地がある。ビルに囲まれた東西に走るほんの30mほどの道だから、ひょっとすると1日太陽の光が当たらないかもしれない。軽自動車が1台やっと通れる広さだからか、ここをクルマが走っているのも見たことがない。
この写真にも写っているが、この路地を歩く主な目的は100円自販機コーナーで缶お茶を飲むためだった。夏の暑い盛りに古書会館から駅に戻る途中、ちょっとのどが渇いた時にはここで缶お茶を買って飲んだ。当初はあまり気にも留めなかったが、筆者がゆっくりと飲んでいる最中に一人また一人とこの自販機で飲み物を買っていく人がいた。筆者同様、100円という安売り値段に釣られてのことだろう。意外にこの自販機の認知度は高いようだ。
この自販機の向かい側のビルには棚が設置されており、テナントとして入っている飲食店がゴミ置き場として使っている。コックの格好をした人がたびたび大きなゴミ袋をぶら下げてゴミを置きに来る。裏路地という雰囲気が
かなり強い。
誰も居ないときにここで飲み物を飲むのが愉しみになってきた頃、曲がり角を入ってきたときに数人が群がっていたことがあった。認知度が高めどころではない。実は人気の自販機なのだった。
季節は冬に移り、缶コーヒーは温められて出てくるようになった。販売機の前に立って最後飲み干すときに視野に広がるネオ・クラシック(?)な建物に今度は目が行った。すると、自然にそばに止められているバイクにも目が留まった。今まであることすら気が付かなかった。急にこの路地が表情豊かな面白い路地のような気がしてきた。ゲンキンなもので、今度はカメラを持って来よう、と思った。通い始めて半年
も経ってからM6で撮影した。写真にして初めて街灯の存在を知った。昼間薄暗い分だけ、夜は明るいのかもしれない。
ライカM6を新品で買ってから2年が過ぎた。いつの間にかM3はお蔵入りし、M6+ズミクロン35mmばかりで写真を撮るようになっていた。この2年のうちにM7が発売され、M6は製造中止。機械式シャッター搭載のライカはM6TTLが最後となった。M6を買っておいて良かったと思った。
当初面白がって使っていたトリガーワインダーだが、使うときと使わないときが出るようになった。実際にはひとつのカットのために何度もシャッターを切る撮影をしない方なので、あまりワインダーを必要としていないのかもしれない。思い立って一度はずして撮影に持ち出してみた。すると今度は妙な違和感を感じた。すでにワインダーをつけた時の大きさと重さに慣れてしまったのだろう。結局付っぱなしのまま使い続けることにして、たまに思い出したようにガチャンと引き金を引いている。
取り巻く環境が変わったといえば、デジカメの台頭が著しいということだろうか。フィルムカメラの生産体制はもはや風前の灯火といった状況だ。ケータイもカメラ機能を取り込み始めたから、コンパクトカメラは小型という売りがデジカメやケータイとモロに競合するため、持ちたいと思える単焦点モデルから相次いで生産中止となった。筆者の持つビッグミニが壊れ
てしまったら新品はもちろん、他メーカーの同等品さえ買うことができなくなっている。コンタックスT3が最後の選択肢だが、最近在庫一掃セールを始めているところをみると、すでに製造中止が決定しているのかもしれない。実際にデモ機を
あれこれと触ってみたが、シャッター半押しの感覚がうまくつかめない気がした。
スペックはT3のままで使い勝手がT2というカメラはできなかったのか・・・。無論、購入には至っていない。
データとして格納できるデジタル化された画像は保存場所を取らないという大きな利点がある。DVDに焼けばかなりの量の画像がディスク1枚に保管できるため、使いこなせる人にはそれはそれは重宝だろう。筆者もデジカメを買ったとき、その合理的な構成に驚いた覚えがある。IXYデジタルは買い替え買い替えですでに3代目。まるっきりデジタルカメラ生活
に移行してしまうかと思いきや、逆に散歩のお供に持ち出すことはなくなった。今やデジカメの用途はもっぱら仕事で本の撮影をするくらいだ。デジカメの何が持ち出し頻度を下げているのだろうか。答えはまだ出ていない。
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