| Auction 甘露日記 KANROKANRO Twitter@kanro30 | |
![]() |
|
| HOME > KANROKANRO > 荒木経惟ページ | |
|
では、荒木さんの「TOKYO NUDE」はどうか。「右ページに東京、左ページにヌード」という形式で120点の作品集である。収録されている写真は1点が4ツ切という堂々たる大きさで、手に持ってページを開くと視野いっぱいにTOKYO NUDEが広がるようになっている。これでひとつの表現がある。軽装ながら中身の詰まった写真集といえよう。 全点ペンタックス6x7にて撮影され、全て縦位置作品である。東京は当時バブル景気の真っ只中だった。規模の小さい商店や商店街のしもた屋が次々と取り壊され、巨大テナントビルの建設が次々と行われていた。その象徴的な存在としての新宿新都庁舎の建設風景からこの写真集は始まる。曇天に屹立する4本の巨大クレーンをバックに京王プラザホテルの一室でアサヒスーパードライを飲む女。新宿ワシントン靴店の”背中”。築地聖路加国際病院遠景。雨の新宿ゴールデン街。新宿ビル裏飲食街の街灯。新宿高層ビル街を望む屋上の配管。砂場で正座するゴリラの置物。新宿南口台北飯店。円山町ラブホテル”イコー”。首都高目黒線際。雨の六本木。梅丘の選挙ポスター板。神楽坂料亭満喜埜。公園の簡易トイレ。置き去りにされた朝顔。佃住吉神社鳥居。”やすらかな死をあなたに・・・”。団地前の深川警察署パイロン。空き缶とプルトップ。廃屋。六本木裏通り。移転のお知らせと散乱するゴミ。アルマーニ男性下着のウィンドウ。注射堂肛門科。菊の花壇。剥がれそうな地下道天井。京橋親柱。石川島リバーシティ。隅田川吾妻橋前遊覧船。神田鍛冶町ガード下。後楽園落下傘。新宿三井ビル。昭和天皇一般参賀。これら東京風景の一枚一枚にヌードが組み合わされている。
荒木さんの出す写真集には東京と名の付くものが多いが、一般に”東京”と言ったときにイメージする大都会東京とは程遠い風景ばかりがこの写真集では描写されている。渋谷、新宿でも銀座でも撮影しているのに写されているのは裏通りにひっそりと佇む人気のない風景が多いのだ。都会で取り残されたような静謐さを含んだこの風景たちは、何処にでもあるようでいて東京にしかない風景といえるだろう。荒木さんは東京が表現しているからそれを複写すればいいのだ、と前々から言っていた。とすれば、この写真からあふれてくる静かながらも力強い印象は、東京に内在する”何か”が知らず知らずのうちに写り込んでいる結果なのである。
伊藤俊治氏は「東京の無意識」という文章の中でこう述べている。「「東京物語」のなかに妊婦のヌードがある。髪を短く刈り、眉間の広い丸い顔の女が大きなおなかを抱え、濡れた目をして、じっと、こっちを見つめている。その白い陶器のような裸身を降りてゆくと、濃い恥毛におおわれた性器が口を開き、見る者を吸いこもうとしている。上気した肌に薄い青い血管がすうっと浮きあがる。妊婦特有の大きく広がった乳輪と、液がいまにもその先端からにじんできそうな黒ずんだ乳首があえぎ、薄闇のなかで輝く。これは女の廃墟の美しさではないだろうか。女の廃墟へのいとおしさと欲望がそこにはとらえられ、荒木は女の性のなかに体ごととりこまれている。 荒木は透明にその胎内へ飲み込まれ、写真だけが、女だけが、濃いぬめぬめとした存在感を訴えかけてくる。これはまさしく東京という女である。東京という女の裸である。無限の感情と肉体を持った女の生理と生態が一枚の写真に写しこまれている。」 2001年1月9日記 |
|
| HOME > KANROKANRO > 荒木経惟ページ | ||||||||||
|
|
||||||||||
|
||||||||||
|
|
||||||||||
|
powered by 日本の古本屋 |
![]() 211-0004 川崎市中原区新丸子東1-833 店舗定休日:毎週火曜・水曜日 特定商取引に基づく表記 プライバシーポリシー Twitterアカウント:@kanro30 @kanro300 Kanroshobo Home Page Since 1998.9.9. |
![]() |
||||||||
| KANROKANRO AmazonKANRO メールマガジン サイトマップ 古書買い取り MAIL リンク集 甘露日記 Twitter@kanro300 | ||||||||||
|
|
||||||||||
|
Copyright 1998- 2012 Kanroshobo All Rights Reserved. |
||||||||||