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<センチメンタルな旅>は一頁ずつアクリルボックスに額装され、全点展示されていた。<東京は秋><TOKYO NUDE><東京ノスタルジー><終戦後>とモノクロによる東京写真が続き、<Aノ楽園>の部屋へ続く。ここでは<男の顔面><人妻エロス>が大きく伸ばされ壁一面に入り乱れて貼り出されている。フロアにはワニーンのオリジナルが置かれていて、楽園気分を盛り上げる。この部屋が今回の展示のメインであることは疑いない。
「写真は人を幸福にできるか?」がこの写真展のテーマだという。<LIFE BY LEICA>のページにこの写真展について荒木さんが語っている。
「なんで下町かっていうと、やっぱりなにかあるんだよね。人生って湿り気っつーか体温が必要でしょ。ほどほどに汚れてる。整理されてない空間とか、時間のでたらめとか、そういういい加減な感じじゃなくちゃ、幸せはちらばってない!」 こういう感覚を持つに至った原因を、荒木さんは自分が下町生まれだから、と少しぼやかしてしまうが、日本人なら誰しも下町にある独特の懐かしい感覚に心惹かれる経験があるはずだ。そういう普遍性が荒木さんの写真になければこれだけ大きい会場で写真展が開ける作家にはなっていない、きっと。 ノスタルジーやセンチメンタルという自分の弱い部分を見詰めることで、荒木さんの写真からは”人間”が立ち上がってくる。それはもちろん、荒木さんのカメラの前に立つ人たちの笑顔からも伝わってくる。この笑顔こそ「写真は人を幸福にできるか?」の答えなのではないだろうか。写真は人を幸福にできるのである。 2001年3月13日記 |
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