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ところが、当の陽子さんはこの写真群には「私の性悪な部分が、荒木に撮られた写真には驚くほどよく出ている」と述懐する。「私が一人ソファで喘いでいても、私の肉体は単に投げ出された肉体ではなく、彼の肉体としっかり繋がれている肉体」なのであり、「私が写っていても、そこには彼の姿が濃く投影されている。」と書く。行為をしながらの断片的な描写から二人の行為へ場面が進んでいくときの大きな展開。見ている者には唐突と思える場面転換に「生々しい」と感想を述べるものの陽子さんは決して動じない。むしろ行為の最中に見ることの出来ない”自分の姿”を捉える荒木さんの視線に興味を持って見入っている。
写真集はその後、行為を小休止して夏みかんを食べている姿、TVや「ノスタルジア」のパンフレットを見る様子、壁に掛けられた猫のお面、お風呂にお湯を張る様子を描写したのち、再び二人の行為に戻っていく。「夫の股座に顔を埋め、冷静な眼差しで陰茎を含んでいる。」こういう描写が連続する。
この写真集の途中に「小説」と題された陽子さんの文章が挿入されている。
行為が終わったあと、陽子さんはさっき湯を張った風呂に一人で入りに行く。荒木さんは一人でソファに寝転がりながらドアのノブを写したり、部屋の観葉植物にフラッシュを当てる。余韻に浸っているというよりも、陽子さんが去って手持ち無沙汰という様子に思える。風呂の中で陽子さんはゴキゲンにすごしているらしい。 2003年1月1日記 |
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