| Auction 甘露日記 KANROKANRO Twitter@kanro30 | |
![]() |
|
| HOME > KANROKANRO > 荒木経惟ページ | |
|
その年の九月。荒木さんは再び札幌の彼女のもとに訪れる。雑誌特集の撮影で彼女を撮ることにしたのである。小樽から美瑛への撮影行。出会ったときにはカールのかかっていた髪はストレートになり、表情も少しだけ大人っぽくなったような気がする。
「恋の旅、第一夜」 この日の夜、宿泊したホテルで少女の撮影がなされる。ベットの上ではしゃぐ姿。下着だけになった姿。そして、シャワー後のバスタオル一枚だけの姿もある。ベットの上の真っ白なシーツに座って、真っ白なバスタオルを身にまとっただけの彼女の表情は凛として、荒木さんを見つめている。少しだけ濡れた髪が印象的だ。こんな写真を撮るとき、撮る方も撮られる方もどういう気持ちでいるのだろうか。まだ出会って間がない二人である。もちろん、荒木さんの方からこういう写真を撮りたいがどうだろうか、というオファーが先にあったとは思うのだが。撮影が始まってから終わるまでの間の彼女の微妙な表情の変化が興味深い。
美瑛の撮影で、彼女は紫のタートルネックのセーターを着て、また印象ががらッと変わっている。広大な景色にパープルが映える。まっすぐに伸びた道を歩く秋桜子さん。そして、何処までも続いているようなまっすぐな線路を楽しげに歩く荒木さんと秋桜子さん。写真からは現場のリラックスした雰囲気が伝わってくる。この本のカバーを取ってみるとここでの撮影風景が写っているので参照されたい。秋桜子さんに腕を組まれてご機嫌な荒木さんが見られるはずだ。
この写真集の最後、「ボーイフレンドとロンドンに、英会話の勉強にゆく」ので一年間留守をした秋桜子さんが日本に帰ってきたから、と新宿のパークタワーホテルで撮影が行われた。日付は1998年6月。最初の出会いから7年が経過していた。 荒木さんがひとりの女性の名前を冠した写真集にするのは異例のことだ。「美登利」という作品を除いてみれば後に残るのは「わが愛、陽子」とこの写真集だけ。荒木さんの中でもこの写真集は大きな位置を占めているに違いない。 かく言う筆者もまた、秋桜子さんの写真に対してはひとつ思い入れがある。数年前のある金曜日、明治古典会に荒木さんのオリジナルプリントが5枚一度に出品された事があった。写真の相場など全くわからなかった当時の筆者が、荒木さんの写真を好きだ、というお客になった気持ちで入札して、やっと落札できたのが、秋桜子さんの「恋の旅、第一夜」のときに撮影された写真だったのだ。バスタオル一枚の姿をした秋桜子さんがベットに座っている半切判で、裏面には荒木さんの署名が入っていた。写真を売るノウハウなど全くなかったためなかなか売れなかったが、目録にとって出したら売れてしまった。聞けばAat Roomに長いことかけられていた写真だったという。うれしいようなさびしいような気持ちで発送したことを覚えている。その後、「愛情旅行」にも収録されている陽子さんの写ったオリジナルプリントも扱ったが、最初の秋桜子さんが写ったプリントの印象が消えることはなかった。 17歳だったあの日、荒木さんと出会ったひとりの少女の肖像は、こうして筆者の心の中にずっと残っていくことになった。 2000年11月28日記 |
|
| HOME > KANROKANRO > 荒木経惟ページ | ||||||||||
|
|
||||||||||
|
||||||||||
|
|
||||||||||
|
powered by 日本の古本屋 |
![]() 211-0004 川崎市中原区新丸子東1-833 店舗定休日:毎週火曜・水曜日 特定商取引に基づく表記 プライバシーポリシー Twitterアカウント:@kanro30 @kanro300 Kanroshobo Home Page Since 1998.9.9. |
![]() |
||||||||
| KANROKANRO AmazonKANRO メールマガジン サイトマップ 古書買い取り MAIL リンク集 甘露日記 Twitter@kanro300 | ||||||||||
|
|
||||||||||
|
Copyright 1998- 2011 Kanroshobo All Rights Reserved. |
||||||||||