1998年12月東京国際フォーラム ROLLEI B35 TRIOTAR40mmF3.5


ROLLEIB35

 東京都庁の跡地に建てられた公共建造物である。
出来上がった当初は見物人でごった返していたこの建物も、現在はイベントを開催していたとしてもガラガラの状態である。案内係のお姉さんはいつも暇そうだ。
 天井は船底をイメージしているそうである。ただ、この都心の一等地にガラス張りの空虚な空間を作り出す必然があったのかどうか、という議論をあまり聞かない。確かに人の目を引くとは思うが、人の目を引いたその先に何があるのだろうか、という疑問しか持てなかった。
 建築は人間の大自然(神)に対する挑戦から出発しており、非常に人間的な行為といえる。その時代時代の思想を反映し、自然に強く抵抗したり、服従し崇拝したり、両者のバランスを考えたり、を繰り返しながら哲学と共に発展を遂げてきたはずである。
 その脈々と続いてきた建築史の歴史のなかで最新の成果がこの建物だとすれば、何を目的として何のためにデザインしたのだろう。「こんな奇抜なデザインの建物も実際に建てられるようになった」などという簡単な理由でこの建物が生まれたのだとしたら哀しい。中身が空っぽというこの建物を建ててしまったことは、図らずも「現代思想は空っぽ」ということを象徴してしまっている。技術の発達が建築史における「発達するべき方向」を誤った方向に進ませているのではないか、という危惧をいだかざるを得ない。
 建築には「人間とは何か」という命題が含まれている。人間の本質を考える作業から離れては建築は成り立たない。

 このカメラはローライ35シリーズのなかの一台。トリオ(3)という名前から、3枚レンズを使用した簡易型といえる。
 ローライ社が生産拠点をシンガポール工場に移してから発売されたローライ35S(ゾナー付き)を設計者である故ヴァースケ氏は、自分の設計によるものとは認めたがらなかったようである。そう考えると、ローライ35テッサーモデルと、トリオター付きB35、C35モデルは、「ヴァースケ・オリジナル」と言えよう。ローライ35Sはあくまでも「ローライ・オリジナル」なのだ。やはり距離計を持たないこのカメラにF2.8のゾナー付はバランスが悪いと判断したのかも知れない。
 露出計も電池式のcdsではなく、セレン式が入っている。ただし、絞り、シャッタースピードとは連動していないので、結果はユーザー自身がカメラにデータを移し替えなければならない。このあたりは普及タイプ然としているといえようか。
 しかし、露出計を不要と考えるプロにとっては、高級タイプよりも軽量で廉価なこのモデルの存在は有り難かったに違いない。シャッターと絞りとピント合わせがレンズ周りに一軸で配置されているのもプロ好みの設計だ。
 廉価版のレンズと思われがちなトリオターだが、実際に写してみると抜けの良い素晴らしい描写力を発揮する。テッサーに比べても全く遜色がない。

ROLLEIB35 (1)

 実はローライのカメラを4台も持っている。そのうちの3台は高輪で購入している。このB35も高輪から引き取ってきた。値段は16,000円だった。ビッグミニだって2万円するのに、ローライが1万円台である。見つけたときには迷わず購入した。高輪ではローライ35用の革製ハードケースも見たことがある。コレクターにとっては垂涎のアイテムであるが、その時持ち合わせがなくて購入できなかった。このあたりがクレジットがきかない高輪で買い物をする時の不満である。その後は実物を見たことがない。
ローライ35Sも二度ほど購入したが、今は一台も手元にない。一度目は荒木経惟のオリジナルプリントの購入資金として神田のG堂書店の若旦那の所に出した。二度目は荒木を買うときに神田のN書店に里子に出したローライコードを請け出す為に身代わりとなった。今ではコンパクトカメラにカメラの本質を見い出すN書店の若旦那に気に入られ、かわいがられているようだ。
神田の古書店の若旦那衆にはローライ35S使いがもう一人いる。一丁目の古本長屋の中で、古い佇まいを持ち一際目立つO書店の若旦那もカメラ(写真?)に造詣が深く、コンタフレックスやニコノス等と一緒にローライ35Sも使いこなす。ちなみに宴会の写真を撮らせたら彼の右に出る者はいない。

1998年12月1日記

2016-03-17 | Posted in 甘露PHOTO日記Comments Closed 

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