1998年12月佃島から石川島 ROLLEIFLEX 2.8C PLANAR80mmF2.8


ROLLEIFLEX

 バブル期の計画が実行され、石川島にリバーシティ21という高層マンション群が建設された。荒木経惟の平成元年頃撮影された佃島風景を見て思い知ったが、当時、このあたりは「開発」という言葉からは全く見放された状態であった。高層マンションもまだ一棟しか立ち上がっていない。
 大企業に目を付けられ、資本を注入されれば、たった10年で街は変わってしまうものなのだ。住民の意思とは関係なく、気が付けば空が随分狭くなっている。
 高層ビルを墓石に例える写真家は多く、今ではあまり新鮮味を感じられないが、そう考えて見てみると、新宿高層墓石群をはじめ、池袋サンシャイン墓石、渋谷東邦生命墓石、横浜ランドマーク墓石と、人の住めないような生活感を感じない都市空間に巨大墓石は必ず存在する。図らずも御茶ノ水に明治大学墓石が立ち上がり、いよいよ御茶ノ水界隈も人間が住める場所ではなくなってきた。
 谷中など、もともと墓地として有名な街の方がよっぽど生活感があり、生き生きしているのも皮肉なものだ。しかし、ライオンズマンションが寺と寺の間に10階級のマンションを建設中で、住民が反対運動をしていたが、マンション側が少し折れて規模を6階建てに変更したようだ。景観無視の建物には断固反対してもらいたい。彼らは造りっ放し売りっぱなしである。造ってしまえばこっちのものとしか考えていない。谷中が食い物にされてたまるか!住民頑張れ。
 この大川端リバーシティ21は高層マンションの走りであり、繁華街の高層ビルとは違った雰囲気を持つ。もともと月島・佃島とは切り離されて開発されたためか、子供の歓声も聞こえるのでさほど違和感もなくなってきた。筆者は子供の歓声に弱い。

 連綿と続く名機の系譜、ローライフレックスも、戦後になって、撮影レンズを明るくし、F2.8付きレンズをラインナップに加えた。シュナイダーのクセノタール80mmF2.8とツアイスのプラナー80mmF2.8である。
 よくこの二つのレンズは、どちらが良いのか比較対象になり、ライカM3とM2の関係のような究極の選択をユーザーに迫る。描写の違いを比べようもない貧乏人の筆者としては、結局、シュナイダーとツアイスのどちらがいいか、というブランド志向で決めた。クセノタールを使っても、その違いなど筆者にはわかろう筈もない。
 ローライに限らず、二眼レフは戦後大ブームとなった。フィルムの質が良くない時代には、ライカよりも大きいネガが得られる6x6判は歓迎されたようだ。甘露書房初代である祖父の写った古い6x6コンタクトプリントが見つかった。当時、写真は引き伸ばすことが必ずしも前提ではなかったのだ。
 現在でもピントグラスを覗き込み、お辞儀をする格好になる独特の撮影スタイルを持つ二眼レフは、その光を失っていない。

ROLLEIFLEX 2.8C PLANAR80mmF2.8

ROLLEIFLEX (1)

 このカメラも9月に開かれる伊勢丹の中古カメラ市で購入した。カメラの価格も需要と供給のバランスによって決定される事は周知の事実だが、一時、そのバランスが崩れて価格が急激に上がることがある。最近のニコンはその良い例だ。ある写真家がニコン神話なるものも作り上げ、いろいろな雑誌で大きく宣伝をしているため、価格は上昇の一途だ。
そんな神話が有りそうで無いのがローライフレックスであり、中古カメラ市でもあまり売れていないらしく、ここ数年価格は安定している。このプラナー付きは高輪のブースで購入したが、中古カメラ市ではクレジットカードが使えるのである。6万円代だった。
果たして、やはり高輪モノである。購入してから不調箇所が見つかった。ファインダーの無限遠が行き過ぎるのだ。これでは狭いデパート内で見つけることは出来ない。今回は保証対象だったらしく、その部分は無料で修理してもらったが、修理から上がってきてすぐ今度はスローシャッターが粘りだした。
それでも我慢して使っているうちに、セルフコッキングが壊れて全く動かなくなってしまった。一体何を修理したのだろうか。筆者が高輪の保証修理の質が良くないというのはこの経験によるのだ。
結局、高輪に修理を依頼しても治らないと感じ、関カメにOHを依頼する。OH代で4万円かかり、結局は安くない買い物をしたことになった。
しかし、OH後は調子が良く、気を取り直して持ち出し率も徐々に増加している。なんといっても天下のローライである。ローライには神話よりも物語が似合う。

1998年12月15日記

2016-03-15 | Posted in 甘露PHOTO日記Comments Closed 

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