1999年1月月島西仲通り商店街 PLAUBEL MAKINA67 NIKKOR80mmF2.8


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 月島といえば、「もんじゃ焼き」が名物と言えるだろう。この西仲通り商店街はそのメッカである。駅前の商店街といえどもこの不況でぎりぎりの経営を迫られているのが普通であるが、ここはもんじゃ焼きを中核に活況を呈している。もんじゃには「浅草派」と「月島派」に分類できるそうだが、それは「せんべい」を作るかどうか、という焼き方に違いがあるらしい。
 「魅力ある住みやすい街」とはどんな街のことを指すのだろうか。駅前にコンビニと大型スーパーがあって、あとはひたすら住宅地とマンションが建ち並ぶような新興郊外団地を「魅力ある住みやすい街」に挙げる人はほとんどいないはずだ。やはり駅前にはいろいろな商店が揃った商店街が無ければ「住んでみたい」とは全然思えない。
 魚屋、八百屋の威勢のいいかけ声。肉屋のコロッケを揚げる香り。定食屋の名物オヤジ。おもちゃ屋に群がる子供たち。漫画を立ち読みする中学生。どれも筆者にとっては魅力ある街に欠かせない情景だ。
 わが街新丸子も、その情景を徐々に徐々に失いつつあるが、この月島仲通り商店街にはすべてが揃っている。小さい頃普段見慣れていた風景、失われてしまった記憶を呼び戻すために、筆者は吸い寄せられるようにたびたび訪れてしまう。

 プラウベルマキナ67は、ドイツの名門プラウベル社の名前を冠する蛇腹式中判カメラである。ブローニーという幅の大きなフィルムを使用するため、35mm判フィルムよりも粒状性が優れている。結果、その場の空気まで写し込むくらい貪欲に光景をフィルム面まで引き寄せる。120タイプしか使用できないため、1本で10枚しか撮影できないが、この画質を思うと仕方がない。
このカメラは実は日本製である。カメラのドイという会社の社長が野心を持って作り上げた傑作カメラなのである。付いているニッコールレンズは非常にシャープで、カメラの特徴を際立たせている。レンズは沈胴するため携行性に優れ、旅行にも持ち出せるため、重宝している。同じ67判カメラのペンタックス67では旅行携行は普通無理だ。
 当初シャッターメーカーであるコパルが製造を担当したが、後に中判カメラで有名なマミヤに担当が移る。後継機のマキナW67(ニッコール55mmF4.5付)とマキナ670(220フィルム使用可能)はマミヤの製作といわれる。

 荒木経惟さんの作品群のなかで、このマキナ67とペンタックス67で撮影される機会が多かった時期がある。年号が昭和から平成に変わる頃の事だ。この時期の作品には力強さが感じられ、作家として充実していたことが写真からひしひしと伝わってくる。好きな「バルテュスの夏」はこのカメラで撮影された傑作の一つ。荒木ファンの筆者としてはいずれ使ってみたいと思っていたカメラだった。撮っていて、引き伸ばしてみて楽しめるカメラだと思う。

PLAUBEL MAKINA67 NIKKOR80mmF2.8

MAKINA67

 このカメラは中野でライカIIICを下取りに出して買った。ライカを売って手に入れただけに思い入れも深い。本体10万円。それと純正フードがたまたま2個も売っていたのでそれも全部買い込む。1個1,500円。
何年か前に京都へ旅行に行ったとき、どこかにぶつけたらしく、ファインダーが凹んだ。関東カメラサービスに持ち込み、修理をしてもらったが、ついでに内部を清掃してくれたようで、その後、調子がよい。(1万円)
最近マキナサービスという専門の整備会社が有ることを知る。カメラのドイから独立した人のようだ。OH代は4万円。これで当分は安心して使い倒せる。55mmニッコールの付いたW67も欲しいが、こちらは20万円を確実に越えるため、未だ果たしていない。

1999年1月4日記

2016-03-13 | Posted in 甘露PHOTO日記Comments Closed 

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