1999年1月秋葉原 PENTAX SP SMC-TAKUMAR35mmF2


SMC35mm

 御茶ノ水と秋葉原間は歩くにはちょうど良い距離だ。ちょくちょく、仕事の合間に足を運ぶ。
神保町は本の街として名を世界に轟かせ、小川町はスポーツ用品店街として発展し、それにつづく秋葉原は電気の街と、このあたりは世界でも有数の専門店街を形成している。何の気なしにぶらぶらと歩いてしまうが、この不況の平成にあって大きな商店街を維持する努力には大変な苦労があることと思う。
本道を歩む第一人者がいるからこそ、アンチとしてそれ以外の者が存在することが許される。第一人者が出来ないことをやれば、すぐにアンチの地位が上昇するからである。神保町があるから、我々街の古本屋は「アンチ神保町」として存在を許され、秋葉原があるから、新宿、池袋に量販店が「アンチ秋葉原」として大きく発展したのだ。
どの業界も一人勝ちは決して許されない。大手が存在すれば、アンチとして必ず中小の対抗馬が存在しなければならない。それが成熟した社会だ。対抗馬のいない者は次第にその力を弱めていく。そういった意味では、 MSの業界一人勝ちは淘汰されなくてはならないが、現実はそうなっていない。A人が日本人に押しつける「フェア」という言葉の無意味さを思うのはこんな時だ。

 ペンタックスは一眼レフのパイオニアとしてその業績は讃えられるべき だと思う。その一方、シェアで見る限り業界の第一人者は 別の会社だと思う。もっとも、シェアで製品の良し悪しが決まっているわけではない。それはユーザーが一番良く知っていることである。
業界を代表するニコンもかつてはライカのアンチだった。いつ形勢が逆転するのかはその後の企業努力による。しかし、スチルカメラ自体が、もう大きな発展が望めない分野である。持つ喜びを得られるような魅力を秘めた新製品を作り出すか、過去の名機を復刻して売り出すなどの独自のアイデアが必要 なのではないだろうか。ペンタックスMXを限定復刻すればニコンFM2とほぼ同じ価格設定ができよう。
ニコンとて最新鋭機で苦戦しているらしいことは、中古カメラ店の店頭価格を見ればなんとなくわかる。アマチュアが五点測距、一秒間に8駒撮影など、F5のスペックを充分生かす場面が退屈な現代社会でどれだけあ るだろうか?F5とビッグミニ、ローライ35が同じフィルムフォーマットだと考えると、アマチュアには必要のないオーバースペックであるような気がする。筆者のSPには露出計に電池さえ入れていない。それでもこれだけ写るのである。逆に電池を必要としない分だけ、F5では撮影できない分野でも活躍できそうだ。現代スチルカメラの代表を造る義務を負ってしまった メーカーにはなかなか決断できないとは思うが、ペンタックスには現代電気カメラが忘れてしまった楽しみに対応するようなカメラを作ってもらいたいと思う。
タクマーという名前の由来は、明治の著名写真家:梶原琢磨氏の名前から来ているそうである。 梶原氏の写真は存じ上げないが、切磋琢磨という言葉を連想させる。金属鏡胴でもあり、一生懸命作っているようで、所有していても気分がよい。すでに中古市場でしかその姿を見ることは出来ないが、その値段は実力から考えると安すぎるプライスタグが付いている。この35mmは定評のあるレンズである。カラー撮影では暖色系に寄るが、なんとも懐かしい好もしい色だ。

PENTAX SP SMC-TAKUMAR35mmF2

35mmF2

 このレンズも高輪で購入した。筆者の仕事場である神保町と店のある新丸子の途中、いわば通勤路に高輪があるので、必要以上に立ち寄ってしまうのだ。自然にここでいろいろと使わないものまで購入する頻度が高くなる。タクマー用純正フード付きで17,000円は、かなり安いと思われる。相場はフード無しで25,000円くらいだ。このレンズの先代のスーパータクマー35mmF2は、フィルター経67mmの大砲のような大玉レンズだが、このSMCタクマー35mmF2はフィルター経49mmである。小型化に成功したらしい。ちなみに「SMC」は「スーパー・マルチ・コーテッド」の略称だ。
実は過去に一度このレンズを購入したことがある。ヘリコイドが堅くてピントリングを回すたびにレンズが回ってしまう事を嫌気して、新宿の委託に出して売ってしまったのだ。 A銀行の上にある委託で有名なお店だが、買ったのもここだった。買ったときは12,000円。それから半年して18,000円で売れた。売るとき応対してくれた店員さんの「これは良いレンズでしてねぇ」という、うれしそうな顔が印象に残っている。

1999年1月4日記

2016-03-11 | Posted in 甘露PHOTO日記Comments Closed 

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