1999年1月和田倉門 PENTAX SP SUPER TAKUMAR35mmF3.5


TAKUMAR35mmF35

 皇居周辺は好きだ。神保町から歩いて5分もすればお堀端の気象庁前に出る。大手町も以前よりビルは高層化されたものの、10階前後の幅広ビルが多く、新宿高層ビル街よりもどこか洗練されて見える。丸ビルが取り壊され、そう遠くない将来、新丸ビルも取り壊し、高層ビル化するという。新宿の繁栄を見てじりじりしての結果と聞き、さてもまたか、と溜息をついてしまった。これでまた散歩して楽しい街がひとつ消えて行く運命になりそうだ。
 内堀通りの坂下門前(大噴水公園前)から東京駅に向って伸びる銀杏並木も美しい幅員73mの行幸道路の、日比谷通りとぶつかるところにこの和田倉門はある。
 資料がなく、詳しい事はわからないが、デザインの良さと、行幸道路が整備された時期を考え合わせると、昭和初年の震災復興事業で出来上がった建築物と思う。石造りの上品な出来栄えである。
 スーパータクマーは、旭光学社製ペンタックス用レンズで、SMCタクマーの一世代前のレンズ群に付けられた名称である。スーパーマルチコート(SMC)していないことを除くと機能的には何ら変わる事なくペンタックスで使用できる。
 スーパータクマーの一世代前のラインナップであるオートタクマーレンズは、半自動絞り仕様でシャッターを切ると絞りも同調して自動で絞られるが、自動で開放に戻らない。カメラを右手でホールドしたときに自然に左手はレンズへいくが、その左手が当たる部分にクローム色のレバーがあり、ぐいっと回すと開放に戻る。慣れればどうということはないと思うが、気にする人にとっては気を削がれる設計だ。森山大道は、にっぽん劇場写真帖を撮影していた頃、ペンタックスS2にオートタクマーで街を生け捕っていたと聞いた。
 一眼レフの進歩は、現代ではカメラの進歩とほぼ同義になっているが、このころの進歩は”必然”で進歩している印象を受ける。そのため、強い説得力があり、だれもが「進歩した」とカメラメーカーの努力を認めた。現代の進歩しきってしまった一眼レフは、その進むべき道を見つけられず迷走している。
 このコーナーで何度も言ってきたことだが、30年前のレンズ・カメラで撮影した写真と、最新鋭のレンズ・カメラで撮影した写真にその30年分の違いが出るのは、逆光時など、ごく限られた場合にあるだけだ。

PENTAX SP SUPER TAKUMAR35mmF3.5

TAKUMAR35mmF35 (1)

 カメラ・レンズを買う店というのを特に決めているわけではない。そのため、かなりの数を買ったり売ったりしているにもかかわらず、「常連さん」に数えられる事はない。よくお店に入っただけで「こんにちは、いらっしゃいませ」と声をかけられる人を見掛けるが、うらやましいと思う反面、空気のように見えていないが如く扱ってくれるお店の方が気楽でいい。特に買うものがなくても立ち寄ってしまうサガを、自分でも自覚しているだけにお店に迷惑をかけているようで気が重くなるからだ。
新宿はカメラの街だ。なんといってもヨドバシカメラ、さくらやの二大巨頭がある。その市場が拡大していると睨んでマップカメラ、中古カメラ市場などが新規参入している。客としては新宿では店を選べる立場に立てたわけで、立場は強い。
中古カメラ市場では一度も買った事はない。一度、コニカC35というEEカメラをウィンドウから出してもらったが、電池が入っていなかった。あれこれ試したものの、EEカメラである性質上、電池がなければ完動品であるかどうか確認ができない。ぶすーっとした店長とおぼしき方は、最後までこちらと目を合わせず、電池はないのですか?と聞いた筆者に対して反応をしなかった。見るだけの人が多くて商売の基本を忘れてしまったようだ。やはりそういう店にはなくなってもらう他はない。
新宿東口の老舗、アルプス堂で7,500円でスーパータクマー35mmF3.5を購入した。神保町のY書店さんからSPを頂いた時に「35mmが一本欲しい」と思ったためだ。レトロフォーカスの割には小さくまとまり、SMCタクマー35mmF2の明るさが必要ない時にはこのレンズを持ち出す。

1999年1月4日記

2016-03-08 | Posted in 甘露PHOTO日記Comments Closed 

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