1997年9月錦華通りからM大 Super Ikonta531 Schneider Xenar 75mmF3.5


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 日本で言うところのスーパーセミイコンタ、である。銀座のスキヤカメラ地下で購入した。
 ツアイスというと、今ではレンズ専業であるが、ツアイス・イコン社がレンジファインダーカメラ、コンタックスを市場に投入し、一時はライカを向こうに回して、カメラ業界の覇を競っていた。ライカ・コンタックス論争といえば、カメラファンの中では常識となっている。
 そのコンタックスでも有名な、ツアイス・イコン社が造った蛇腹スプリングカメラのなかで人気の高いのが、645判のセミ・イコンタシリーズである。5型テッサー付きともなれば現在の中古価格で15万円が相場だ。
 人気の理由の一つには携帯性の良さが挙げられよう。スプリングカメラは、収納時ポケットに入ってしまうくらい小さく折りたたむことが出来る。次にルックス。この頃のカメラはプラスチックなどの素材は一切使われておらず、仕上げも念入りである。全体的にはリジットのカメラよりも華奢であるが、各部所の機能もそれぞれ無駄を省いた機能美が追求されている。無駄のないデザインは自ずと美しくなる。
 レンズにはノンコートのシュナイダー・クセナーが付いていた。テッサーと同様の3群4枚レンズである。描写は立体感をよく再現するものの、細かいところが少し省かれているように感じた。
 写真は靖國通り裏の、神保町魑魅魍魎ストリート入り口に位置する飲食店街である。同じ「神保町」という地名ながら、靖國通りを挟んで北側の裏通りは地代も安く、家賃も安い。業界に入りたての若い古書店の店主は、まずこの魑魅魍魎ストリートに事務所を開き目録販売を中心に売り上げ、名を挙げる。それから表神保町に進出するのである。誰が付けたか「魑魅魍魎ストリート」。正式名称でない事は言うまでもないが、歩いてみればなるほどと納得できるはずだ。
 「錦華通り」の語源、錦華小学校という夏目漱石も通った小学校が、過疎化による千代田区の小学校の統廃合政策によって御茶ノ水小学校と名称変更になってしまった。廃校となった学校の卒業生が、自分の母校が錦華小学校に吸収されたことが気に入らず、ならば「錦華」の名前も廃止すべきと主張したためらしい。何と近視眼的な発想であろうか、とがっかりしてしまった。「我が輩は猫である、名前はまだない 錦華に学ぶ」という夏目漱石の碑を取り壊せ、と主張し始めない事を祈るばかりだ。
 さて、このカメラだが、ツアイス・イコン社の理詰めとも言えるきっちりとした設計に好感を持ったものの、実際に使用してみると、フィルム巻上げノブや、距離計のノブが重くて指の腹が痛くなったり、パララックスが大きかったり、使っていて楽しくなれなかった。そのため、ペンタックスFA43mmを購入する際、下取りに出してしまった。

撮影 1997年9月

2016-03-03 | Posted in 甘露PHOTO日記Comments Closed 

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