1999年6月浅草 芳野屋 LEICA M3 SUMMARON35mmF3.5


SUMMARON35mmF35

 日本を代表する観光地、浅草は浅草寺の向って左側、花やしきの入り口際に芳野屋はある。
 有名な浅草六区は建物の建て替えが進み、どこか「今風」のウソクサイ街になってしまった。そんな雰囲気を味わいたくて浅草を訪れる人はいない。どこか下町らしさを残した「浅草」を味わいたくて皆この街に来るのだ。
 花やしき周辺のこのあたりは、どこかうらぶれて古きよき昔が残っている。このお店のようなお食事処は以前は何処にでもあったようだが、今は意外に少ない。他にも浅草ならではのお店も数多くあるように思う。
 「異人たちとの夏」という映画で描かれていた浅草。夜にこの通りを花やしきののりものを見上げながら死んだはずの父親(片岡鶴太郎)と歩く息子(風間杜夫)を描いたあの視点。大林監督が求めた浅草の姿が筆者には今でも焼き付いている。ヤツメウナギを焼くおじさんは印象的だった。
 筆者が家族で浅草へ行くとき、今半も行ったがすき焼きは高いので牛丼でがまんした。尾張屋の天せいろは非常にうまい。夜は吾妻橋を渡ってビヤホールで地ビールを楽しんだ。帰りに橋を渡るとき、電気ブランのネオンがきれいだった。
 ライカの似合う街の筆頭格は銀座と浅草である。銀座にはカメラ屋が軒を連ねていることからも納得するが、浅草がなぜ似合うのかを考えてみると、著名写真家が決まってライカでスナップした街が浅草なのである。日本の著名写真家は下町をイメージさせる人が多い。
 下町は今も昔も人を集める。そこへ分け入ってシャッターを切れば、自然に人間が写る。人間が写った写真は、一番人間に影響を与えるものらしい。ネイチャー写真に感動する人が増えているが、それは都会に住む人が増えたためではないだろうか。都会の人は非日常になってしまった「自然」に癒しを求め足繁く通う。「自然」が日常の人は都会にあこがれ、上京する。人気の少ない山の手は写真家を育てる事はなく、やはり下町が日本の写真家を育てたのだと思う。
 ズマロンは1946年に登場したバルナックライカの時代からラインナップされているレンズである。M型ライカの時代になっても鏡胴のデザインを変更しただけで生産は継続され、その後F2.8まで発展した。
 筆者は以前、バルナックライカに付けて初期型ズマロンを使用した事がある。半逆光で撮影したときに見せるシャープさと甘さのまじりあった写り方は秀逸であった。赤が綺麗に出るため、画面全体が映えるようだ。今回その時の写真と見比べてみて描写はもちろん、逆光時に出るフレアの出方のクセまで似ているように思った。

LEICA M3 SUMMARON35mmF3.5

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 今、世界中のライカが日本にあるらしい、と聞いてから数年が経過した。その間、景気や為替の変動があり、銀座の一等地にあるカメラやさんがマツキヨに変わるなど、カメラを取り巻く状況も変わってきているようだ。
冷静に考えてみれば、ライカは300万台以上造られた世界一のベストセラーカメラである。現在もM6が作られており、モノとしての希少価値は全くない。ただし、ファインダーの綺麗なシャッターの調子が良い個体は、古いモデルから順に減っていく事は避けられない。そのため、一部特例として希少価値を持ってしまう個体もある。
筆者の持つM3はごく平凡な番号で、ファインダーが綺麗だったので購入した。M型ライカにとってファインダーはいのちだ。どんなに高くても安くてもファインダーが駄目なら買うに値しないと思っている。
このズマロンはウィーンから輸入した。$300だった。送料に$30も取られたが、本当にそれだけかかっているのか疑わしい。受け取るとき消費税も取られ、やれやれと思いながら試写するとピンぼけレンズだった。ムカっ腹をおさえつつE-MAILで苦情を申し立て、送料こちら持ちで送り返すと、「修理した」とだけ書かれたメモとともにまた送られてきた。「その後いかが?」などというメールも来ず、不良品を送りつけた責任を自覚しているとは言い難い。欧米からレンズの個人輸入を楽しんできたが、どうもこのところはずれる事が多くなってきた。日本人には不良品を送っても文句ひとつ来ない、という安心感を持ってしまっているようだ。保証しますと謳っておきながら不良品かどうかをチェックしてから販売しているわけではないらしい。日本人も馬鹿にされたものである。カタログに印刷されているライカを持ってニッコリしているメガネにひげ面業者の写真を指ではじいてやった。
M3には35mmフレームが内蔵されていない。アベノンから35mmファインダーが出ているが、15,000円もするので買うのを控え、GR28mmに付属のファインダーを付けて使用している。厳密なフレーミングを要求される事のないライカの撮影では横位置で撮るだけならば特に問題はない。パララックスが気になるようなら一眼レフを使えばいいだけのことだ。

1999年6月8日記

2016-03-02 | Posted in 甘露PHOTO日記Comments Closed 

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