2001年11月新宿御苑 CONTAX Aria DISTAGON T*35mmF2.8


DISTAGON35

 秋の日の良く晴れた新宿御苑。ここを散歩するのはとても気持ちが良い。新宿御苑といえば桜の名所で、シーズンともなれば新宿門には入苑待ちの人が自動券売機の前で大行列を為す。そんなときでも千駄ヶ谷門は人もさほど多くなく、券売機に並ばなくてもすぐに桜の園の目の前に入れるのだから便利だ。一度千駄ヶ谷門を使ってしまうと、駅から近いこともあって楽だから毎回ここから入ることになっている。

 いつ来てもそれなりに楽しめるのがここの魅力だ。春は桜にツツジがきれいだし、夏は木陰でごろ寝すると此処が新宿とは思えないくらい涼しい風が吹き抜ける。秋は言うまでもなく紅葉と菊花展が人を呼び、冬は暖かな日差しが心を和ませる。

 この写真を撮影したのは11月始めの良く晴れた日だった。ユリノキの巨木が黄葉する様は毎年の楽しみになっていた。丸っこい手のようなかわいい形をした葉は、一気に木全体で黄色くなっていくのではなく、まだ黄緑色した葉を充分残しながら少しづつまばらに色付いていく。その色の混ざった感じが一番いい。カエデの燃えるような真っ赤な紅葉も魅力的だが、ワタシはユリノキの黄葉の方が好きである。

 温室も好きで、来るたびに入る。夏の暑い時期には正直木陰で寝転がって居る方が楽に思えるけれども、やはり楽しいので欠かすことはない。熱帯の背の高い木々や鮮やかな花。不思議な色をした蔓植物に大きく葉を広げたオオオニバスの花。中庭にそそり立つリュウゼツランの花木。何度来ても飽きない。
写真画面中央から右に見える木がユリノキで、そのすぐ隣には代々木駅前に建ったNTTドコモの巨大ビル。とても対照的な二つのオブジェが一つの画面に収まっても不自然にならないところが、新宿御苑の不思議な魅力だ。

 ツァイスの広角レンズには2種類ある。一つは現在コンタックスGシリーズのために用意されているビオゴンと呼ばれる対称型広角レンズ。もう一つはRTSに始まる一眼レフコンタックスシリーズ用にラインナップされているディスタゴンという名のレトロフォーカス型広角レンズである。

 広角レンズは対称型の方が収差による画像のゆがみが出ないので有利だ、というのは昔からの定説で、コンタックスG1に付いた28mmビオゴンは、その性能の優秀さで多くのカメラユーザーを驚かせ、G1はベストセラーカメラになった。
そしてこのディスタゴン。ツァイスのレンズで、後玉からフィルム間の距離が焦点距離よりも長い広角レンズ(レトロフォーカス型広角レンズ)に対して付けられた名前がディスタゴンだ。歪曲収差を追い込み切れないといわれながらも、実写してみればわかるように気にするほどのレベルではない。建築写真やチャート撮影など、特殊用途にでも使わない限り、収差を云々するくらいの違いは画面に現れない。むしろ、Gシリーズの見えにくいファインダーを気にしながら使いにくい思いを抱くのなら、一眼レフのディスタゴンを使ってしまった方が撮影も進むような気がする。そう、慣れの問題だと言われるかもしれないが、筆者はコンタックスGシリーズのファインダーの見え方がどうしても好きになれないのだ。

 いいレンズといいボディ。実際にはこの両者が最良の組み合わせでラインナップされているシステムカメラは意外に少ない。もちろん”まったく無い”とは思っていないが、最高の組み合わせを実現する為には多額の現金が必要となってしまう。それではつまらない。
近年は一眼レフもAF化が進み、それと同時にオート化もますますブラッシュアップされているようだ。これはカメラの主要購買層が比較的高齢で、視力の衰えからAFを望んでいる為であるらしい。1980年代に発売されたメーカー各社のMFフラッグシップ機 がここ数年でほとんどが生産中止となったのも、AFを求めているという市場調査の結果を反映させたものだったという。

 オートで撮ればとりあえず失敗は無い。だが、失敗の無い写真というのはどこかウソ臭いような気がする。人間は失敗から多くを学ぶ。はじめから失敗しない写真が撮れるカメラを与えられてしまったら、失敗は全てカメラのせいだ、ということで撮影者は何も反省しなくなる。失敗を失敗と思えなくなるかもしれない。
生活の全てがうまくいっている、なんて自信を持って言い切れる人が(たぶん)居ないように、写真にもまた失敗があって当然だ。最初使い方がわからず失敗ばっかりしていたカメラを段々使いこなせるようになっていくその過程が最高に楽しいと思えれば、カメラに対する愛着もまた深くなる。

 良く写るカメラより写らないカメラの方が何故か印象に残ったりするものだ。

CONTAX Aria DISTAGON T*35mmF2.8

DISTAGON35 (1)

 このレンズはコンタックスRTSが昭和50年に出た当時からラインナップされていて、そのときの定価は44000円だった。現在の定価は46000円で、発売から26年経っているのにたった2000円しか上がっていない、と言えば安いと思ってしまいそうだが、実際にはどうだっただろう?ちなみに当時ニコンは同スペックのレンズを25000円で発売。キヤノンは24000円。ペンタックスとミノルタは22000円で出していたから、コンタックスのレンズが極めて高価だったことがわかる。もっとも、当時は西ドイツ製だったのかもしれないが。
Ariaを買ってから立て続けにヤフオクでレンズを落札した。このディスタゴン35mmもヤフオクで元函入りを手に入れたのだ。

2001年11月27日記

2016-02-28 | Posted in 甘露PHOTO日記Comments Closed 

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