2002年5月フクロウ LEICA M6 NIKKOR-S.C 5cmF1.4


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 古書会館が一時的に神田小川町から錦町へ移転して以来、ライカを片手に神田駅周辺を歩き回っている。この日はどんよりとした曇り空。街撮りには向かない日であったが、たまたまM6に付けたレンズがニッコール5cmだった。このレンズの開放F値はF1.4。開放の描写を試すには悪くない天気となった。

 このフクロウのオブジェは神田司町二丁目交差点そばに佇んでいる。フクロウ好きのオーナーがビルを新築したときに建てたのだろうか。
フクロウは学問の神様と言われるが、それはギリシア時代に”学問の神様の使い”をしたという伝説に端を発するらしい。そのイメージと、知的で物静かに見える目の印象からか、世界的に良いイメージで見られる鳥である。

 「フクロウ」というキーワードをGoogleで検索すると、ものすごい数のサイトが引っ掛かってくる。実際にフクロウの生態を観察して切実に保護を訴える正統派の方から、ご自分でフクロウのハンドルネームを名乗る方。フクロウ好きが嵩じてフクロウの名を冠したお店を開いたご主人まで様々。すべてのサイトをチェックしたわけではないが、どれにも共通してあるのはフクロウへの畏怖や尊敬の念がサイト全体から伝わってくることだ。
同じ”野鳥”でもカラスのことを良く言う人がほとんど居ないことを考えると、同じ鳥でこうも違うものかと思う。日本では環境庁がフクロウは絶滅の危機に晒されていると認識し、保護活動をしているという。たびたび駆除論が出てくるカラスとはえらい違いだ。

 近年ニコンから復刻されたS3に標準で付属しているレンズはニッコール50mmF1.4だが、後年開発されたガウスタイプのレンズ構成を取っていた。筆者の所有するこのレンズは、昭和24年に発売されたツァイスがコピーだとクレームを付けるほどの高性能を誇ったゾナータイプ・ニッコールである。
作例のフクロウは右目にピントを合わせ、絞り開放で撮影した。全体的に柔らかな描写になるのはハイライト部に発生するフレアの影響と思われる。これがこのレンズの大きな特徴で、F2に絞るとやわらかさとシャープさが渾然となった良い描写が楽しめる。F2.8よりさらに絞るとフレアは全く見る影もなくなり、シャープさが際立ってくる。F8以上に絞って使うならもうこのレンズを使う意味はないだろう。カリカリとした描写を好まれるのなら話は別であるが。

 「郷愁のアンティークカメラ3.レンズ編」(71ページから)にこのニッコールレンズと本家ツァイス・ゾナーの比較記事がある。そこでニッコールは限りなくゾナーに近いものの、むしろゾナーよりも数値では上だし、「実写の印象も上だ」(萩谷剛氏談)との評価を得ている。「まず明るさがF1.5とF1.4と違う。球面収差と非点収差の補正状況も細部で違い、画質ではミリあたり10本の画面平均コントラストがゾナーの52%に対し、ニッコールは55.4%と、向上」しているという(小倉磐夫氏談)。昭和24年の時点で世界のツァイスを追い越していたのだろうか。ツァイスが本気になったワケがここにあった。

 このレンズはダブルヘリコイド構造になっていて、INFから3.3フィートまではライカの距離計に連動するが、そこから距離計連動なしで1.5フィートまで接写ができるようになっている。接写をするときにはどうせ三脚を使わなければ撮影は出来ないわけで、距離計連動範囲外の近距離ならものさしを当てて距離を測ればいい、という設計なのだろう。
当時ライカマウント(Lマウント)はユニバーサルマウントとして活用されており、昼はライカに付けて撮影し、夜は暗室の引き伸ばし機に付けて引き伸ばしレンズとしても活用されるのが普通だったという。現在も引き伸ばし機はライカマウント仕様が標準である。このダブルヘリコイド構造がその思想の延長線上にあるとは断言できないが、多機能レンズとして1本ですべて用をこなしたいカメラマンには非常に便利だったはずである。

 近年のクラシックカメラ人気で、クラシックカメラ用の径の小さいフードやフィルターが容易に手に入るようになった。10年前ならヘキサー用の46mm径フィルターでさえ入手には取り寄せが必要だったことが懐かしい。このニッコールにはフードが必須であるが、有名なカメラアクセサリー会社から43mm径の標準レンズ用フードがちゃんと発売されていた。実はこのレンズの純正フードも所有しているのだが、壊すのが惜しくて実写では使用したことがない。良くないことだとは思いながらも、この”実用”フードを常用している。

LEICA M6 NIKKOR-S.C 5cmF1.4

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 ニコンは2000年に名機S3を復刻し、一定の成果を挙げた。今回そのブラックモデルも復刻するということで、ニコンファンの所有欲を掻き立てている。お値段がお値段だけにおいそれとすぐに買えるものではないが、ブラック塗装のS3はカッコいいという言葉しか浮かんでこない。 ニコンは元は日本光学という会社だった。日本光学の作ったカメラにニコンと名付けられたのであって、はじめにニコンという名称があったわけではない。以前サービスセンターに電話をすると、受付の方が「はい。ニコンの日本光学です」と応対してくれたという。小西六がコニカに改称し、旭光学もペンタックスへと社名変更するという。それでいいのかなぁ・・・と、これは余談だが。

2002年5月23日記

2016-02-23 | Posted in 甘露PHOTO日記Comments Closed 

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