2004年4月工場の壁 CONTAX T3


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 桜が咲き始めた3月の日曜日。特に出かける予定もなく、ゆっくりと起きて昼飯に女房が作ってくれたおはぎをたくさん食べてお腹一杯となり、食後はどうしようかと思っていると「外が寒いから出かけたくない」と女房と息子。 せっかくだから出かけたい筆者と娘は食後の散歩がてらとりあえず外に出た。
歩いて隣駅へ。普段週に一度娘が通っている音楽教室を筆者に見せたいと言う。得意げにここにエレベーターがあって、階段があって、といろいろ喋りながらビルの3階まで上がって教室の入り口まで案内してくれた。そのあとは駅のそばにある公園でしばし遊ばせる。 閑散とした公園には人影もなく、ここが本当に駅前なのか、という気持ちになる。

このあたりには大型工場が林立し、東横線と南武線が交差していることから乗降客は多い。ただし近年の工場海外移転の風潮はここにも影響したのか、規模を縮小したり、売却されマンションに建て変わるケースが増え始めた。工場も生き残りを賭けて設備を新しくするところもあり、まだまだ希望をもって事業を続けていくところと、あっさりマンションに変わってしまったところとで二極分化している。この駅の南口には工場に勤める方々を迎え入れる歓楽街が形成されているが、繁盛しているのはパチンコ店くらいのようだ。
長く”工場の駅”として扱われてきたせいか、駅周辺には未開発地域が意外に多く、駐車場としてしか使われていない広大な土地も残されている。市内のちょうど真ん中に位置する事からそれ相応の機能を付加させる再開発計画もあったようだが、予算不足で計画そのものが頓挫していると聞いた。駅の向こう側を工場の壁伝いに歩く。長く続く 道。道伝いにどこまでも伸びる壁。コンクリートの板を重ねて出来たこの壁は、作られてから相当の年月が経ち表面には風雪に耐えてきたという表情が刻まれていた。「貼紙厳禁」のペンキ文字まではがれそうになっていた。持っていたT3で思わずシャッターを切った。傍らに居た娘は不思議そうな顔をしていた。
そのまま道を直進して綱島街道へ出る。南武線を渡る跨線橋の上は新幹線を見るのに好位置。しばらく見てから小学校の前を通過してビデオ屋に寄る。半額セール実施中だった。「僕の生きる道」を借りた。

コンタックスT3を購入してからというもの、外に出る時にはいつも腰からぶら下げて歩いている。ちょっと気が向くと取り出してシャッターを切る。 ノブをひねると繰り出すレンズは先代T2よりも大きいが、それはレンズユニットの精度を上げる為のものだと勝手に想像している。こんな気楽な街歩きをする時に決まって入 れているフィルムはネオパンプレスト400である。別にTri-Xでも気分は変わらないと思うのだけど、やはりここは国産のネオパンなのである。量販店のポイントはいつの間にか溜まっているもので、新宿に出た折をみてポイントのみで20本の箱入り ネオパンを買った。実は錯覚に過ぎないとわかっていても何となく得をした気分になれるからいい。

T3にはオートフォーカス機としての”家族カメラ”の役割もあるので、本当はもう一台買ってフィルムを使い分けるのが理想的なのだけど、さすがにそこまでする勇気は今のところない。

CONTAX T3

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 少し前にネットを見ていて見つけてしまったT3専用の革ケース。結局物欲に抗しきれず発注してしまった。メールで注文の旨を伝えると、約1週間ほどで宅配便の代引き扱いで無事到着した。艶のある分厚い革で造られており、カメラに直接触れる内側には濃い紫色のベルベットが張られている。一見しただけでもその凝った造り込み にほれぼれする。まったくよく出来ている逸品だった。早速本体につけていたハンドストラップを一旦はずし、T3をケースに合わせて底面にあるネジを回すとすんなりとケースに収まり固定された。背面にはフィルムインジケーターを確認するための穴も開いていた。
デザイン上ワンポイントということで付けたであろうL字型のグリップ。T3のレンズ配置がもう少し向かって右側にシフトしてあれば見た目にもバランスよく見えるだろうな、と思った。T3はむしろ左側にレンズ位置がシフトされているため、見た目は少し窮屈な印象を与えている。ところが、実際にグリップしてみると、人差し指から薬指までの3本がちょうどL字グリップに引っかかり、小指が底面から支えるようになっている。実に良く考えられたケースに思えた。 本当はネックストラップをつけて首から提げるのがセオリーなのだろうが、腰からぶら下げて歩きたい筆者の都合を押し付けられ、T3は再び安物のハンドストラップを付けられて腰巾着に収まった。
底面には制作した会社のロゴマークが押してある。それがライカM用のケースをかたどったもので、ついM6用のケースも欲しくなってしまった。あぶないあぶない。

2004年4月8日記

2016-02-16 | Posted in 甘露PHOTO日記Comments Closed 

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