2008年2月アール・デコの館 LEICA M6 GR28mmF2.8


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  日本のアール・デコと言えば、旧朝香宮邸にとどめをさす。

目黒にある東京都庭園美術館のことだ。1月中旬の三日間、館内を写真撮影自由のイベント開催と聞き、寒空の中出掛けることにした。目黒駅から徒歩5分ほど。白金の入口に建つ白亜の豪邸だ。
およそ毎年1回、建物自体を公開する展示を行っていたような気がするが、写真撮影については許可されていなかった。混雑するんじゃないか、という予想は当たり、入口にあるガラスのレリーフ(ルネ・ラリック制作)前から写真撮影する人で大混雑(^^;。まあ、ワタシもその中の一人なんですが・・・。

何年ぶりだろうか。過去に2度ほど来たことがある。大広間にある香水塔の形にほれぼれする。大広間の入り口に立つこのオブジェはフランス海軍から献上されたという照明器具で、陶器製。上部のうずまき部分は取り外しが出来、香水を入れて、中の電灯の熱で気化させる構造になっているという。なるほど、それで香水塔ですか。

 この建物は昭和8年5月に完成した。当時フランスで最盛期を迎えていたアール・デコという様式を内装に全面的に取り入れているのが最大の特徴だ。建物の設計と施工は宮内省内匠寮工務課という。赤坂離宮がこの集団の最大作品。アンリ・ラパンはインテリア・デザイナーとして内装を担当し、合計7室を手がけたと解説にある。

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 アール・デコ様式とは何か。それを知るには当時のフランスの事情を知る必要があるらしい。場内にも説明として1925年にパリで行われた国際装飾博覧会の会場写真などが展示されていた。その博覧会の略称が「アール・デコ」と云われる。これが言葉の起源だった。
19世紀末に流行したアール・ヌーヴォーの形式の次にアール・デコが来る。インダストリアル・デザイン的に当時幅広く使われたデザイン様式なので、建築・室内装飾から、自動車やファッションにまで範囲は及んだらしい。
世界は機械化の時代を迎え、大量生産・大量消費が始まろうとしていた。装飾にもそういった背景が反映され、よりモダンで抽象化されたデザインへと変貌していく。都市・工業・芸術・思想。これらが一体となって生み出したデザインの一様式だったといえるだろう。朝香宮邸は欧州で流行していたこのモダンな様式を内装デザインに取り入れた。

 いままで公開されていなかった場所が修復されて、今回初めて公開、という部屋もある。小客室とウィンターガーデンだ。アンリ・ラパンによる壁画や内装デザインは全盛期のアール・デコそのものということだ。今日これだけたくさんのお客を集めるだけのことはある。大客室にあるガラス扉の見事なこと。天井から下がるシャンデリアもルネ・ラリックが製作したもの。大食堂の銀色の壁はブランショのデザイン。天井照明はラリック。暖炉の上の油絵はラパン製作らしい。細部までアール・デコの専門家たちが手を施しているところが興味深い。ただし、ラパンは設計図を基にフランスで作業を行ったため、実際に施工した内匠寮の建築家は渡仏して資料を集めたりして大変だったようだ(^^;。

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 2階は部屋が細かく仕切られており、宮様のプライベートルームや書斎、バスルームなどが並んでいる。「喫煙室」というものがあって、当時からこうして分煙していたのか、と、その”先進性”を勝手に思ったりする(^^;。
それぞれの部屋のランプシェードがいちいち凝った造形で、見上げる楽しみがある。

今回初公開のウィンターガーデンは、いわゆる温室ということで、3階にあるそれほど大きくない空間だった。白と黒のタイルが敷かれた市松模様が特徴。

 建物を出て庭園を一回り。美術館らしく彫刻作品が各所にちりばめてあり、娘はアール・デコの内装云々よりもこちらの方が面白かったようだった・・・。

参考文献:『朝香宮邸のアール・デコ』東京都文化振興会

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冬のお出かけは場所選びに苦労する(^^;。女性陣はことのほか寒さに弱いため、散歩距離が長いことを喜ばない。特に娘はその傾向が顕著で、もう少し歩くことそのものを楽しんでくれればいいのにな、といつも思う。12月中は比較的暖かだった今冬も1月に入ってからは低温傾向が続き、二年ぶりに雪が降るなど、気象庁がいくら暖冬傾向だといってもにわかには信じられない寒い日が続いている。桜の咲く季節を待ち遠しく思う節分である。

2008年02月03日記

2015-12-18 | Posted in 甘露PHOTO日記Comments Closed 

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