チャイコフスキー


朝、地震で揺り起こされる。
東京国際フォーラムで開催のチャイコフスキーを演奏するクラシック・コンサートに出かけた。
めずらしく、オヤジも母親も聴きに行く、というのでチケットを買っておいた。息子を除く5人で行っても5000円。破格の値段だ。
14時に開演。司会の三枝成彰さんがチャイコフスキーについて語り始める。曰く、クラシック音楽は主にドイツ人作曲家が確立した世界。で、禁欲的なキリスト教的価値観に裏打ちされており、音楽にはメッセージ性が求められた。わかりやすい例はベートーヴェンの第九。あの曲の発しているメッセージは民主主義の確立だった。ベートーヴェンは第九に「王様と乞食は兄弟だ」という想いを込めた。欧州に王様や貴族が沢山いた当時は危険思想として第九は初演から27年間も封印された。
チャイコフスキーにはそういったメッセージ性がない、とドイツ人は批判的に見る。甘く、聴いて心地よい旋律。楽曲に酔わされることは悪魔に付け入る隙を与えることになる、と考えられていたようだ。
心癒されるために音楽を聴く、というのが日本人の一般的な音楽との接し方であるならば、ドイツ人は自分を高めるために音楽に接する、のだという。
小林研一郎指揮。新日本フィルハーモニー交響楽団。最初はヴァイオリン協奏曲。瀬崎明日香さんのソロ。続いてピアノ協奏曲第一番。金子三勇士さんのソロ。どちらも迫力満点。去年もこの会場へ聴きに来て、1階席の奥だったために音が聞こえにくい印象があったが、今年は2階席だったためか、音は比べ物にならないくらい良い。協奏曲の演奏を生で見たのは初めて。オケの伴奏とソロ楽器の演奏の切り替えなど、よくもまああれだけ正確に続けていけるものだと感心する。
休憩を挟んで交響曲第4番。ホルンとトランペットが通常編成よりも増強されて、強烈に響きわたった。やはり旋律は甘美。弦楽器が一斉に同じフレーズを弾き続けたりする盛り上げ方はチャイコフスキー独特のものらしい。
音楽に理性を求めるドイツ人と情緒を求めたロシア人。音楽に”酔う”ように酒に”酔う”ことも楽しむ日本人にはチャイコフスキーの魅力を素直に理解できる素養があるのかも、と三枝さん。
演奏会が終わって、滝のように5000人もの観客が一斉に階段を降りはじめる。母親は「ピアノ協奏曲がよかったわぁー」と涙ぐんでいた。そんなに好きならもっとコンサートに行けばいいのに。
5396歩 3.23km 55分 236.2kcal 5.6g
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2009-08-11 | Posted in 甘露日記Comments Closed 

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