IT化


夕刊に興味深い記事有。題して「夢とお金」。

創作を志す者の最大の悩みは今も昔も”貧乏”だけど、樋口一葉は極貧の中で肺結核に倒れ、漱石も帝大の月給(約70円)では食べられずに東京朝日新聞社(月給約200円)へ就職したという。
ところが、最近のIT化の成果が創作の世界で花開いているらしい。

例えば、プロの歌手になる夢を追う人は自分でアルバムをCDに複製できるようになり、路上ライブで歌いながらそのCDを販売するのだそうだ。これなら1枚の原価は50円。2000円のアルバムを4ヶ月で1300枚売った人もいるらしい。何と実収入は月約60万円(!)。
コミケでは人気作家が500円の作品を15000部売ってしまう人もいて、実費を1割とすれば収入は675万円(!)。
1万円の有料メールマガジンに1500人の読者が付いたジャーナリストもいらっしゃるとか。

こうなってくるとパブリッシュという意味も変わってきそうな気がする。以前は編集者・出版社というフィルターをくぐった者だけが与えられてきた発表の機会を、IT化によって途中プロセスを一足飛びして直接読者へ届けられるようになってきたわけだ。
むしろ、「大手の縛りはきつく、他の媒体で自由に描くことはまず許されず、好きな漫画を好きなように描くことも、ありえなくなっている。」らしい(^^;。

自由に作品を発表し、ファンさえ付けばプロ以上の収入も得られるという現象。コレが昨今の現実なのだ。

文章だけ読むといい時代になったなぁ、という感想も浮かぶのだけど、何か物足りない気持ちになったことも確か。何故だろうか、と考えると、やはり出版物に対しての憧憬が自分の中にあることに行き着いた。
確かに自費によって作品を作って配布し、それが受け入れられることで自分の中で完結(満足)出来るならそれでも構わないだろう。でも、きっとそれだけじゃ満足できなくなるのが人間じゃないかしら。

「人間、最後に欲しがるものは名誉じゃ。カネなんて後からいくらでも付いてくる」と言った白い巨塔の西田敏行さんの科白を思い出す。
やはり作品を創作する人にはそれなりの発表の場が与えられなくてはならない。自費出版で配布できるのはごく少数だから、その作品もいつか揮発してしまう気がする。結局いずれパブリッシュしたいという気持ちは強くなってくるのではないか。

良い作品にはそれ相応の発表の場を、と思った。

2003-10-21 | Posted in 甘露日記Comments Closed 

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