出会い


出会いはふいに訪れる。

場所は明古。普段どおり朝8時半から仕事が始まった。残置品を片付けおわり、ふと見やると一冊の本が入札封筒を付けられ無造作に置かれていた。森山大道の処女作品集「にっぽん劇場写真帖」だった。このあいだ行った美術展でいろいろ解説してもらい、この時代を取り巻く写真的環境に興味を持っていた。その流れの中心に座っている本の現物が今目の前にある。今日はこれを買って帰ろう。そう心に決めていた。

午前中はカーゴ3台分の持込荷を仕分けして過ごした。ほとんどの本に買ったとき書店が付けるカバーが付いていた(^^;。これをすべてはずさなければ市場には出せない。経営員6人がかりでカバーをすべて外し、ジャンルごとに分けて縛る。終わったのは11時過ぎ。

そのうちにとんでもない品物が持ち込まれた。日本建築史上に燦然と輝くビックネーム、フランク・ロイド・ライト直筆のドローイングだった。うううむ、すごい!本物だけが持つ迫力が品物から発せられている。”歴史”が突然明古に現れた瞬間だった。

午後、開札仕事をしながらも最終台にあるライトがどうなるのか、気になっていた。もちろん、自分が入れたにっぽん劇場も気になったが、ライトは直筆オリジナルである。レベルが数段違うのだ。
ワタシとは違ったレベルでそわそわしている者が一人居た。経営員の○くんだった。彼はライトのドローイングを本気で欲していた。目の色が違っていた。最終台に開札が及ぶ直前、「改め札を書いてきていいですか?」と聞かれた。その目の迫力にワタシは押された。彼は本気の札を入れたようだった。

果たして「にっぽん劇場写真帖」はワタシが上札でかろうじて落札した(^^;。で、最終台のライトはどうなったか!?
ここでは開札結果を明確には出来ない。最終台を開け終った後、改め札を書きに行った彼の表情は笑顔だった、と書くにとどめたい(^^)。

終わったあともしばらく会場の興奮が醒めなかった。運命の出会いはいつもふいに訪れる。我々はその”時”に備えておかなければならないのだ。

私「どこか面白いところへ連れて行ってくれ」
墓掘人夫「かしこまりました じゃあ一つ丈夫な靴をはいてて下さいよ」

これはにっぽん劇場の冒頭にある寺山修司氏の言葉。

市場は我々を面白いところへ連れて行ってくれる場所だ。丈夫な靴をはいて、いっちょ行く所まで行ってみましょうか!(^^;。

2002-03-16 | Posted in 甘露日記Comments Closed 

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