仕入れ、有り。


朝からどんより。

変に暖かい。雨が降るな、これは。
竹橋駅を降りて市場へ向かう途中に霧雨のような雨。いよいよか、と足を早める。今日は出来上がった愛書会の目録とポスターを受け取る日。入札して金曜日に持ち帰りきれなかった荷物を手一杯に持つ。帰り際HIDEさんと遭遇。なんでも4月に行われる全古書連大市会の仕事役割分担の会議中らしい。こうして東京で経営員をしている業者は、2年に一度の割合で4月の一週間古書会館にカンズメとなって働くのである。でもいよいよ今年が最後の参加となるかもしれないな。

戻ってきて郵便局から荷物を発送して帰ってくると電話。仕入れのお話だった。「書道関係の本が少しだけあるんですけど・・・」とご年配の女性が遠慮がちに言われる。引越しをなさるらしい。他にはございませんか?と即すと「あと主人の戦前や戦中の古い本がありまして、今度引っ越すところが狭いものだから整理しろって説得中なんですよ」と言われる。戦前・戦中?なんだかスゴイ本があるんじゃないか?と期待が膨らんだ。ぜひご主人を説得してください、と心の中で念じながら、それでは○時にお伺いしますと電話を切った。

地図を頼りに行ってみると狭い路地に同じ番地がずっと続いていて場所がわからない。電話して迎えに来てもらうと筋違いだった。田圃だったときのまま畔が道になったようなところの行き止まりにお宅があった。こりゃあわかりっこない。
ご主人は説得されたのか「取れる本はみんな持っていってください」とうれしい事をおっしゃる。奥様が言われた書道の本は本当に10冊ほど。あとはご主人の本だ。書斎と思われるお部屋に通される。ドキドキしながらどちらですか?とお伺いすると「こちらです」と本棚を指された。
果たして戦前・戦中の本とは戦記物の事だった(^^;。いや、確かに戦前・戦中の古い本ですね。昭和40年代に出された本はみんな埃ですすけていた。

メゲてはいけない。それは失礼というものだ。本を評価しながらいじっているときにあれこれと本の事から話になる。やはり戦争に行かれた方だった。思い入れのある本を引き取る時には緊張する。書き込み本の有無を確認してから評価額を申し上げるととても喜んで下さった。こちらもお礼を申し上げ、本をクルマに乗せて帰ってきた。

霧雨の降る中、家を出るとき玄関先で深々とお辞儀をされた。「本をよろしく」と言われているようだった。

2002-01-16 | Posted in 甘露日記Comments Closed 

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