中央市会


午前中どんよりしていた空は、神保町へ到着する頃に晴れた。気分がよい。札を書く手もすべるようだ。やはり10月は晴れなければいけない。

今日は品物も豊富に感じた。つまりは自分が買いたい本が沢山出ていたという事だ。

数時間後、開札結果を見てみると、あれもこれもとバタバタ落ちてきた。やはり天気に誘われて筆はかなりすべっていたらしい。
しかし、欲しい本ほどなかなか買えるものではなく、競争相手は多い。その上を書かなければワタシに落ちてこないとなれば、商売になるぎりぎりまで絞っていく必要が出る。

古本屋の書く札には、そのときの全てが反映する。
その本を知っている、その本を買いたい、その本を目録に取りたい、その本を自分の手でお客に売りたい、その本を読みたい、けど金がない、これくらい書かなければ落ちないけど落ちたらどうしよう、金もない、たとえ落札してもこの仕入れ金額じゃ売れない・・・。
支払いは買ってから一週間後という規定がある。当然ながら支払いのカネを算段できることも、その古本屋の器量に含まれる。これだけの事情を背負った上で古本屋は市場で買い札を書くのである。まったく、のん気な商売ではない。

2000-10-30 | Posted in 甘露日記Comments Closed 

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